巴水の風景画と日本庭園

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私のブログ(染谷研究室)に日本庭園について書きました。その中で巴水についても触れていますので、ご一読くださればと存じます。

その中で触れなかったことですが、『QUIET BEAUTY』(上の写真右側にその本が映っています)を書かれたカリフォルニア州バークレイ大のケンダル・ブラウンさんは、あのホテイ版の巴水全集(Kawase Hasui: The Complete Woodblock Prints)を編集された方でもあるんです。

この巴水全集は巴水の作品をほぼ網羅した唯一の本で、極めて貴重なものです(ちょっと高いので手に入れにくいのですが…。4万円ぐらいでしょうか)。そのケンダルさんが巴水の世界と日本庭園の世界は同じだと言っているのは心に留めなくてはならない重要な問題だと思います。

日本人は一部を除いて、一般的に日本の庭園に興味がありませんね。これは困ったことだと思います。日本庭園は世界に冠たる芸術作品です。その歴史書を紐解けばすぐに分かるように、淵源は中国の庭園ですが、それとは全く違った方向に日本庭園は発展しました(朝鮮も中国とは違った方向で庭園を発展させましたが、それはまた、日本とは違った方向です)。

日本庭園はどちらかと言えば、イギリスの庭園に似ています。ちょうど、フランスの庭園とイギリスの庭園が、大陸的と島嶼的な違いを見せているのと同じように、中国・朝鮮が大陸的で、日本は島嶼的です(もちろん、日本とイギリスも随分と違いますが。。。)

ま、日本人の宝の持ち腐れは別に庭園だけでなく、浮世絵もそうでしたし、巴水もそうでしたので驚くに値しませんが、気付いた時点で改めて興味を持つことが大切だと思います。

そういう点から見て、ケンダル・ブラウンさんのご本や発言はいま極めて大事ですね。

ちなみに茨城の日本庭園というと、偕楽園、西山荘と、石岡の大覚寺、水戸の保和苑といったところでしょうが、他にもたくさんありそうですね。そうしたものを探索してみるのも、きっと面白いと思います。特に、かつて庭園だったところで、今では人も見向きもしなくなって荒れ果てているようなところ。そういった所を捜すのが風流です。

松尾芭蕉の名句と言われる「古池や蛙飛び込む水の音」の「古池」は古い池ではありません。「古井戸」がかつて井戸だったところで、今では使われていないところを指すように、「古池」はかつて池だったところで、今では池ではなくなったところ、という意味です。

「古池」ならぬ「古庭」を捜すのも面白いと思います。





この記事へのコメント

  • 畑山康幸

    <新刊紹介>
    東アジア現代文化研究センター編  畑山康幸著 
    版画家川瀬巴水・朝鮮への旅
    Woodblock Artist Kawase Hasui's Journeys to Korea
    レインボー出版 2017

     川瀬巴水は1939年、朝鮮半島各地を訪れ、その風景や歴史的建築物などを主題にして、「朝鮮八景」や「続朝鮮風景」などの版画作品を発表した。巴水が朝鮮を訪れたのは、日中戦争を時代背景にして、「内鮮一体」が叫ばれたころである。巴水は当時の朝鮮で何を見たのであろうか?
     本書では、当時の『京城日報』や雑誌『観光朝鮮』などの記事を検討し、川瀬巴水らの旅の実相にせまる。また巴水は翌1940年にも朝鮮を訪れ、前年の旅を木版画にして発表したが、その展示会場は従来言われてきた「京城備州屋」ではなく別の会場であったことが明らかになった。
     また、巴水の作品がなぜ人々に愛されるのか、「朝鮮八景」のひとつ《京城慶会楼》を例に、その創作の秘密を探っているのも、本書の注目点である。美術と歴史を融合した新しい視点で、実証的に時代の本質に迫る注目の一冊である。

    *定価:1620円(本体1500円+税) *本書は書店には並びません。インターネットで「レインボー出版」あるいは「レインボー通商」と検索してお求めください。
    2017年02月23日 15:54
  • ibakiri

    畑山康幸さん

    書き込み、ありがとうございました。
    大変、有意義なご本かと思います。
    さっそく購入させていただきたいと存じます。
    また、微力ならが宣伝もさせていただきます。

    染谷智幸(巴水の会)
    2017年02月23日 22:56
  • 畑山康幸

    ありがとうございます。私は朝鮮半島の文化について研究していますので染谷さんのご本も拝読させていただいています。これからもよろしくおねがいします。
    2017年02月24日 16:10
  • 染谷

    有難うございます。
    御著、拝読させていただいてから、感想をこのブログに書かせていただきます。
    2017年02月24日 18:54

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